
私たちが生活している中で毎日変動している血糖値ですが、やはり現代人にとって気になるのは血糖値上昇による糖尿病ではないでしょうか。
その糖尿病の検査の中で、2010年から新たに用いられているHbA1c検査ですが、アルファベットや数字などの記号でどんなものなのか、どういう検査なのか、などなど解らないことだらけだと思います。
私たちの体内のことでも意外と知られていない、血液のことや糖尿病検査(HbA1c検査)について詳しくまとめました。
これを知っておくだけで、普段の生活から予防にできると思いますので、是非参考にしてください。
目次
HbA1cとは?
まずHbA1cとはどういうものなのかをご説明します。
HbA1cとは、グリコヘモグロビンの略称のことです。
このグリコヘモグロビンとは、私たちの血液中の赤血球のさらに中にあるヘモグロビン(Hb)というタンパク質に、普段摂取しているブドウ糖が結合してできるものです。
私たちがよく耳にする血糖値とは、血液+ブドウ糖の値のことですね。
要するに、高血糖とは糖(ブドウ糖など)が多ければ多いほど、ヘモグロビン(赤血球のタンパク質)に結びつきが増え、グリコヘモグロビンに変わって、それが多くなるということです。
また、赤血球は120日間(約4ヶ月間)の寿命で血管内をグルグル周るわけですが、その間にブドウ糖と少しずつ結びつきます。
つまり病院で血液検査をする際の血液中のHbA1c値は、過去1~2ヶ月間(赤血球の半分くらいの寿命)の血糖の状態を推定することができるので、HbA1cの値が高ければ高いほどたくさんのブドウ糖が余分に血液中にある=ヘモグロビンと結合しているということになります。
※ちなみに、ヘモグロビンって何?という方のために
ヘモグロビンは赤血球の中に大量に存在するタンパク質で、身体の隅々まで酸素を運搬する役割を担っています。
糖尿病の検査
では次に、糖尿病の検査について見ていきましょう。
この糖尿病の検査は全部で5種類あるので、順にご説明していきます。
尿糖検査
尿の中に糖が存在していないかを確認する尿検査です。血液中の糖分が尿にまで及んでいるかを調べるわけですが、この検査だけでは糖尿病かどうかを判断できません(血液検査は必須)。
血糖値検査
糖尿病の一般的な検査で血液を採取します。この検査は、血糖値が変動しやすいためその瞬間での結果を基準にしています。検査方法は以下の3種類あります。
空腹時血糖値(一般的):基準値126mg/dL未満、ブドウ糖負荷試験2時間値:200mg/dL未満、随時血糖値:200mg/dL未満。
グリコヘモグロビン(HbA1c)検査
こちらも血液を採取する検査です。検査方法には、HPLC法・酵素法・免疫法の3つがあり、過去1~2ヶ月間の血糖状態がわかります。この検査では血液検査で見落としがちな糖尿病の初期段階でも発見することができます。基準値4.3~5.8%。
グリコアルブミン(GA)検査
こちらも血液を採取する検査です。過去1ヶ月間(とくに直近の2週間)の血液状態がわかります。HbA1c検査に比べて血糖値の変化が早くわかる点で、血糖コントロールの指標に有効とされています。基準値11~16%。
1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)検査
こちらも血液を採取する検査です。過去数日間なので正確な血糖状態がわかります。尿の排泄により数値が下がるため食後の高血糖に敏感に反応します。上記4つの検査が基準値以上で高血糖と判断されるのに対して、この検査では基準値の14μg/ml以下だと高血糖が続いていると判断できます。
糖尿病の診断基準はこちらを参考にしてください。
HbA1c検査の採用とその理由
ここでは、なぜHbA1c検査が採用される必要があったのか?という理由と、採用されることでのメリットを見ていきます。
HbA1cの基準ができるまでの糖尿病の診断は、空腹時の血糖値などを基準にして進められていましたが、食前食後以外にもストレスや運動不足などの影響により血糖値のみでは変動が大きいこともあり、実施日を2回に分けていました。
( 運動不足改善したい方はこちらの記事を参考にしてください→糖尿病予防のための運動療法について )
そのため、以下の2点が問題になっていたのです。
・実施日が一日で終わらないことが患者への大きな負担になっていた
・糖尿病の初期段階では症状に現れず、再検査にもならないため早期発見につながらなかった
これらを改善するべく、糖尿病の判断基準として新たにHbA1c値を設けて、HbA1c検査を積極的に採用しなければないということになりました。
その原則により血糖の検査とHbA1cの検査は同日に行なえるようになり、且つその両方(血糖・HbA1c)の検査結果が糖尿病と判断されることで、早期治療・処方に移ることが可能になったということです。
それゆえにHbA1c検査は重要な基準であることがよくわかりますね。
例えば、血液検査をして【血糖値:UP/HbA1c:DOWN】の場合、血糖値が下がっているから安心という訳ではなく、HbA1cが上がっているから1ヶ月間の血液状態が良くなかったということを教えてくれている訳です。
逆に、【血糖値: DOWN/HbA1c:UP】の場合は、血糖値が上がっていたから落ち込む必要はなく、HbA1cが下がっているから1ヶ月間の血液状態が良かったと考えれば良いということなんです。
こちらの血糖値コントロールの目標も参考にしてください。
HbA1cの国際標準化
続いて、HbA1cの検査についてご説明します。
このHbA1cの検査は約5年前に国際標準化されており、糖尿病検査を受診される方にとっては重要な内容になるので是非確認しておいてください。
これからご説明することを簡単に要約すると、
【日本の基準値(JDS値)が国際的な基準値(NGSP値)に変更になった】
ということだけです。
では、ご説明します。
HbA1c国際標準値は、2010年7月1日から施行された新しい糖尿病診断基準のひとつです。
日本では諸外国に比べて測定の標準化にいち早く取り組んでいた(2010年5月26日策定)こともありJDS値※と呼ばれていましたが、2013年4月から国際標準化が必須となりNGSP値※(国際標準値)に全世界統一されることになりました。
ただし、そのNGSP値はこれまでの日本の標準値であったJDS値よりも0.4%高いため、従来のJDS値に0.4%を加えなければいけません。
その具体的な方式は以下のようになっています。
【 HbA1c(国際標準値)=HbA1c (JDS値)+0.4% ≒HbA1c(NGSP値) 】
この方式の通り、国内に用いられている国際標準値とはJSD値の測定法に0.4%を加えているので、あくまでNGSP値に相当する値ということであって、諸外国のNGSP値と国際標準値は同一(イコール)ではないという認識が必要なのです。
したがって、正常値(NGSP値)は4.7~6.2%(JSD値:4.3~5.8%)ということとなり、6.5%(JSD値:6.1%)以上になると糖尿病型と判断され、8.4%(JSD値:8.0%)を超えた状態が長く続くと様々な合併症を引き起こす可能性があると言われています。
※参考
・JSD::Japan Diabetes Societyの略
・NGSP:National Glycohemoglobin Standardization Programの略
言葉の説明だけでは難しいと思いますので、こちらの一覧表を参考にしてください。
糖尿病と関係の深い動脈硬化については、こちらの動画をご覧ください。
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糖尿病を予防する運動について〜運動指導の内容や食後のポイント〜
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まとめ
以上、糖尿病の検査に不可欠なHbA1c(検査)について見てきました。
簡単にまとめると、こんな内容になります。
☑HbA1cとは?
ヘモグロビンという体内のタンパク質にブドウ糖が結合してできたもの
☑糖尿病の検査
尿糖検査、血糖値検査、グリコヘモグロビン(HbA1c)検査、グリコアルブミン検査、1,5-AG検査(イチゴエージー検査)について
☑HbA1c検査の採用とその理由
これまでの検査では2点の問題があり、それを改善するべくHbA1c検査が導入されたことについて
☑HbA1cの国際標準化
日本の基準値から全世界共通の国際的基準値に変更されたことについて現代病の一つと言われている糖尿病ですが、このHbA1cの存在を知っているか否かで今後の生活にも役立てられるのではないでしょうか。
自分の血糖値とHbA1c値を知っておくだけで、どのように生活習慣を改善すれば良いかというヒントにしてもらえればと思います。
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