
私たちが生活する中で健康第一は絶対条件になります。
健康な体で居続けるためには、定期的な健康診断は不可欠ですね。
そして、その健康診断を前にして私たちが自己管理面で気をつけなければならないところは、何と言っても前日の食事ですよね。
よく前日の?時までに食事は済ませておくように言われますが、実際に健康診断を受診する時間は人や病院によっても違ってきます。
さらに言われるがまま守っているだけで、その理由について知らない人は意外と多いのではないでしょうか?
というわけで、その前日の食事や当日の飲み物・何時までは良いか、健康診断のどの項目に適していないのか、その理由などをまとめました。
目次
なぜ食事をするといけないのか
ここではなぜ食事をするといけないのか?その理由について見ていきます。
血糖値が上がるため
食事をすると血糖値が上がるのは容易にわかる※と思いますが、その状態で血糖値検査をすれば糖尿病の疑いを持たれます。
※空腹だと寒いが満腹だと体がポカポカするなどの経験があると思いますが、あれは血糖値が上がるから体が温かくなるんですね。
空腹状態を前提として診断をするため
受診時の検査(空腹状態が前提)が基準とされてしまい、決められた時間を過ぎても食事をしていれば数値が変動するので、間違った判断(糖尿病の疑い・脂質異常の判断)をされてしまいます。
過去と比較検証をするため
過去(昨年・一昨年)と比較されるため、それまでの診断時の条件が違うだけで比較検証ができなくなります。
などが挙げられます。
どの検査に適していない?
ここでは、前日の食事の時間を守らなければならない本当の理由とも言うべき『検査内容5項目』について見ていきます。
以下には5項目ありますが、※印の検査項目についてはどちらか一方を選ぶことになります。
空腹時血糖検査
この検査では血液を採取するわけですが、最大の目的は糖尿病の芽の早期発見です。
この検査の基準値範囲は70~109mg/dLであり、これよりも高い場合が異常値(糖尿病)と判断されることになります。決まった時間より過ぎて食事をしてしまうと、異常値になる可能性が大きいです。
糖尿病については、こちらの記事を参考にしてください。
糖尿病の食後の運動時間について〜運動指導の内容や食後のポイント〜
糖尿病に欠かせないHbA1c検査~健康診断でわかるHbA1cの基準値~
糖尿病の原因と予防するための食事対策~糖質制限食で検査も安心~
血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)
この検査でも血液を採取するわけですが、ここでの目的は肝硬変、脂質異常症、動脈硬化症などの早期発見です。
LDLコレステロール(基準値範囲:70~139mg/dL)とHDLコレステロール(基準値範囲:40~119mg/dL)は基準値より低い場合・中性脂肪(基準値範囲:50~149mg/dL)は基準値より高い場合が異常値になります。
決まった時間より過ぎて食事をしてしまうと、どの項目も異常値になる可能性が大きいです。
腹部超音波検査※
この検査では超音波でお腹の各臓器(女性であれば子宮や卵巣)を診るわけですが、ここでの目的は腫瘍(しゅよう)の大きさ・ポリープ・炎症(えんしょう)・結石(けっせき)などの早期発見です。
胃部X線検査※
この検査ではバリウムを飲んで食道・胃・十二指腸の調子を診るわけですが、最大の目的は胃がんの早期発見です。
胃がんになる前の胃潰瘍については、こちらの記事を参考にしてください。
胃潰瘍の症状と原因について〜症状チェックと食事療法のポイント〜
胃、大腸内視鏡検査※
この検査では直径1cmほどのカメラ(内視鏡)で胃の中まで診るわけですが、ここでの目的は胃部X線検査と同じく食道・胃・十二指腸の調子を診ます。
胃の中を直接のぞくので、胃部X線検査よりも正確に診断できます。
これら下※3項目(腹部超音波検査、胃、大腸内視鏡検査、胃部X線検査)については、決まった時間より過ぎて食事をしてしまうと、お腹に潜んでいる病変部を見つけにくくなります。
絶食の決まり
ここでは、健康診断からさかのぼって何時間前までであれば食事ができるのか?水分補給や喫煙、睡眠などについて見ていきます。
絶食の基本
・基本は、約10時間前から絶食すること
・前日は消化の良いメニューにして10時間前から絶食する
10時間前までであれば何を食べても良いと言っても、普段以上の飲食(暴飲暴食など)をしたり飲酒をするなどはNGとされているので、体に負担のない消化の良いメニューが望ましいです。
では、実際に食べてから消化するにはどれくらいの時間がかかるのでしょうか。
例えば、炭水化物(ご飯・パンなど)で2~3時間、タンパク質(肉や魚など)4~5時間、粘度の高い脂肪(脂っこいものなど)で7~8時間かかると言われています。
こういう医学的な面を見るだけでも、確実な10時間という設定にされているんでしょうね。
※検査内容や受診する病院によっては、10時間よりも短縮または延長されている場合もあるので、案内書を十分に確認する必要があります
(例:午前中に受診は前日の21時まで・午後に受診の場合は前日の24時までに食事を済ませておく…など)
水分補給には注意
朝食を抜く分には構いませんが、朝起きるとのどが渇くこともありますよね。水分補給を禁止されることは少ないですが、ここでも注意点はあります。
案内書には基本的に『水であれば問題ない』という表現がありますから、それ以外のものを飲まないように気をつけなければなりません。
・糖分のあるものを飲まない
飲酒・ジュース・コーヒーなどはもちろんのこと、ノンカロリー表記などの清涼飲料水(スーパーH2O、アクエリアスゼロ、カルピスオアシスなど)も糖分があるので、飲まないように注意が必要です。
・カフェインを摂らない
お茶についてもカフェインの強い『緑茶』も過剰に飲むと検査結果に影響するので、緑茶以外も控えるようにしましょう。
要するに、(病院によってはお茶も可のところもありますが)水に限定しておくのに越したことはありませんね。
※この水についても、できる限り飲まないことを推奨しますが、のどが渇く場合は3時間前までとしてガブ飲みせず渇きを潤すくらい(100cc程度)に留めておいた方がベストです。
喫煙はダメ
こちらは前日から禁煙しておきましょう。なぜなら、タバコに含まれているニコチンが血管を収縮させて、血圧を上昇させる=数値にも異常値が出る可能性があるからです。
またニコチンの唾液により胃が荒れたりするので、2日間だけ我慢してください。
アメ、ガムもダメ
これらを食べて胃液が出てくることで、胃部X線検査に使うバリウムが付着しにくくなるので、絶食と同様の時間で食べないようにしてください。
睡眠時間は十分に
健康診断当日の寝不足や疲労は、尿検査や血液検査に支障をきたす可能性があるので、夕食後3時間後くらい(生理学的に睡眠の質を上げるそうです)に寝て体調を万全にしておきましょう。
以上の内容を必ず厳守、徹底してください。
番外編
万が一、食べてしまったら
ここまで健康診断の前日や当日の飲食についてご説明してきましたが、でも“うっかり”ということは人間ですから、あることです。
朝起きていつもの生活リズムで朝食を食べたり、水以外の水分も摂ってしまったら健康診断を受診する病院で正直に伝えてください。
受診できない可能性もありますが、今後の教訓として次回以降の対策(前夜に貼り紙するなど)にも役立ててみてはいかがでしょうか。
まとめ
以上、健康診断の前日の食事について見てきました。
健康診断の項目は『雇用時の健康診断』や『定期健康診断(労働安全衛生規則』などがあり検査項目もそれぞれ違いますが、ここで書いた内容は医師が認めた場合や勤務している企業によって必要とされる知識ですので、『年齢的に40歳じゃないから関係ない』ということは当てはまらないかもしれません。
あなたが受診する企業・病院(医師)の指示に従ってください。
ここまでの内容を簡単にまとめると、以下のようになります。
・なぜ食事をするといけないのか
食事をすることで血糖値が上がるなど間違った判断をされ、過去との比較も難しくなる
・どの検査に適していない?
検査5項目(空腹時血糖検査、血中脂質検査、腹部超音波検査、胃、大腸内視鏡検査、胃部X線検査)の結果が異常値になる
・絶食の決まり
基本の10時間前の絶食と、水分補給・喫煙・アメ・ガムに気をつけて睡眠はしっかり確保する
健康というのは普段の生活の中で気をつけていくべきなのは当然のことですが、なかなか規則正しい生活ができなかったりします。
でも、この健康診断を受けていたからこそ早めに対処できたことや、潜んでいた生活習慣病などを気付かされることは多々あります。
『ちょっとくらいなら…』という思いで弱い自分に負けて、ここに書いた内容に背いたりするだけで、せっかくの絶食をまた改めてしないといけない羽目になります。
今後一年間健康に過ごすためにも、たった一日だけ徹底することを強くオススメします。
▼NEW!!
上記の記事中でも触れています『LDL/HDLコレステロール』については、こちらの記事に詳しく書いています。
コレステロールの基準値とは〜LDLコレステロールの高い症状と原因〜
HDLコレステロールが高い時の原因とは〜善玉コレステロールの増やし方〜
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