
私たちが生活する中で、無縁とも思える痛風ですが、最近ではおじさんだけの病気でもないようです。
ビールはそんなに飲まないし、太っていないから、などと『自分には関係ない病気』とか思っていませんか?
そんな情報は、今の時代には通用しません。
もしかしたら、あなたも痛風の予備軍かも知れません。
でも、大丈夫です。
このページには、痛風に関する予防策をはじめ、痛風になってしまった方にも具体的な対策を書いています。
痛風は治らない病気の一つと言われていますが、上手に付き合っていくことで治る病気ですので、痛風が心配な方や既に痛風の方などは参考にしてください。
目次
痛風について
痛風とは
まずは、痛風とは何かというところから見ていきたいと思います。
痛風の名前の由来は、『風が吹いても痛む』ということで、足の親指から発症するのが多いと言われています。
その痛みの原因は、健康診断でも測定(採血)する尿酸値の高さにあり、体の中にある尿酸が増えすぎるところから来ています。
この尿酸は、体の中で細胞が新陳代謝を繰り返した結果の代謝の残りで、約70%は尿で出ていきますが腎臓がうまく機能せず尿酸が正常に出ていなかったり、作られ過ぎることで異常値になるわけです。
基本的に、この尿酸は血液中に尿酸塩として溶け込む仕組みになっていますが、決まった量を越えてしまうと結晶化されて足の親指や関節などに突き刺さっていきます。
この影響で激痛が走るのが、『痛風』なんですね。
痛風の前兆はある?発作は?
痛風には前兆というものはなく、突然症状が現れます。
初めての痛風発作の症状は、足の親指・膝・かかと・アキレス腱・くるぶしなど足の関節に鈍痛がありますが、中でも最も多いのは足の親指の付け根あたりに違和感を覚えるという症状であり、発症したうちの7割近くの人が当てはまっています。
痛風の初期症状としては1ヶ所以上現れることはなかなかありませんが、次の日には見た目が赤く腫れ上がるので明らかにわかるほどです。
親指に発症しやすい要因としては、医学的な解明はされていないので確実ではありませんが、可能性として考えられるのは以下の2点と言われています。
・体温の低い足に結晶が溜まりやすくなり、その中でも外部からの刺激が多い親指に痛みが現れる
・親指は他の指に比べて関節が太いので結晶が溜まりやすい
簡単に言えば、見た目の通り足の指の中でも一番突き出ていて、太く大きいからということですね。
また、痛風の症状は発作というだけあって、ずっと痛むという訳ではなく激痛が走るのが時々来るイメージです。
例えば、発作が起きても2~3日がピークで1~2週間程度で痛みはおさまります。
そして次に痛みが来るのは高尿酸血症の状態次第なので不定期ですが、半年~1年以内に再発します。
それゆえに痛みが過ぎれば忘れてしまう人がほとんどで、薬を飲んだりや治療をすることを怠ったりします。
これを放置すると、次第に発作の間隔も縮まっていき慢性関節炎型になり、常にどこかの関節が痛い状態が続きます。
発作の症状の期間が長ければ長いほど腫れ上がった時の痛みは長く続くので、早い対応が必要な病気と言えます。
どんな人がなる病気?
痛風については、これまで中年男性と呼ばれる50代が発症のピークと言われていましたが、近年では40代どころか30代や20代の人まで増えてきている状況です。
そして、『男性がなる』というイメージの強い病気でしたが、女性の社会進出が当たり前になった今では若い女性でもなる病気として位置づけられています。
この若い男性や女性にも患者が増えてきた理由としては、食生活の欧米化(脂質やプリン体が多いものを食べている)が進んでいること・お酒の飲み過ぎ・肥満・無理なダイエット・ストレスなどが挙げられます。
では、具体的にどんな生活をしているとダメなのか?ということを見ていきます。
①この項目は1つでも当てはまると痛風予備軍であると思ってください。
・一日の水分を摂る量が少ない
・ビールを毎日飲む
・野菜よりも油っこいものをよく食べる
・レバーやホルモン、イクラやウニなどが好きで食べることが多い
・外食やコンビニ弁当が多い
・早食い
・大食い(腹八分目で抑えていない)
②この項目は2つ以上当てはまると要注意(生活改善が必要)と思ってください。
・睡眠不足、過労気味
・家族や血筋に痛風の人がいる
・高血圧
・肥満または太り気味
・運動をしない
・デスクワークが多い
・激しい運動をする
・多汗症(汗かき)
・朝食や昼食を抜くことが多い
・几帳面、真面目過ぎ
・イライラが多い、短期だと思う
・ストレスを溜めやすい
・腎臓病の経験がある
・30代~50代
こうやって見てみると、お酒を飲む人や油っこいものを食べる人だけがなる病気でもないようですね。
年齢を重ねるごとに増えていきそうな上記の項目ですが、普段の生活から意識する必要があります。
痛風の対策
冒頭でお伝えしました『痛風は治らない病気』と言われる理由には、発作という言葉で連想していただければわかると思いますが、高尿酸血症というものが発症してしまうといつ何時また再発するかわかならないからです。
これを言い換えると、どのようにして対策するか・生活習慣を改善していくかで、今後の発症または再発防止にもつながるというわけです。
尿酸値を下げるには薬の服用と生活習慣の改善が一番ですので、ここでは痛風の予防として使われる『コルチヒン』についてと、尿酸値を下げるウェートが大きい『食事療法(食べ物)』について見ていきます。
コルチヒン
痛風の発作が発症してしまえば予防しなければなりませんが、この時に処方されるのがコルチヒンという薬です。
その効能については、痛風発作の原因とも言える尿酸結晶を刺激する好中球(白血球の一種)が集まってくるのを抑える働きがあります。
効き目は発作が起きた時に近ければ近いほど効いてくるので、『怪しいかな?』と感じれば即座に飲めば発作を軽くすることも可能です。
また、このコルチヒンは痛風発作の予防薬であり、炎症や痛みを抑える作用はないので、痛みがひどいようであれば鎮痛剤(NSAIDsなど)との併用も考えてください。
コルチヒン服用に際しての注意点としては、あくまで予防薬なので長期間飲まないように気を付けなければなりません。
飲み過ぎると、嘔吐・下痢・血液障害・生殖器障害・胃腸障害・筋肉の痙攣(けいれん)などの副作用が起きる可能性があるので注意してください。
発作の頻度を下げるためには、尿酸値が高くなる(7.0mgになる)前にこのコルチヒンを服用すればいいわけですね。
水分補給
基本的な尿酸値を下げる手段として知っていただきたいのは、水分の摂取が重要な役割をしているということです。
先にもご説明しましたが、尿酸自体は排泄(尿)によって出ていくので、尿を出すためにも水分補給は大きな鍵を握っているわけです。
その目安としては、毎日2リットルの水を飲むことをオススメします。
ここでの注意点として、水は一気に2リットル飲むのではなく朝~夜にかけて水分補給時に飲むようにしてください。
また水以外にもお茶もオススメできますが、利尿作用のあるカフェイン入りのお茶やコーヒー・紅茶は過剰に出てしまうので控える必要があります。
その他にも、ジュースやお酒は尿酸値を上げてしまうことになるのでこちらも控えてください。
尿酸値を上げる食べ物ランキング
食べ物を改善する前に気をつけておかなければならないのが、その逆となる尿酸値を上げる=プリン体の多い食べ物ですね。
せっかくの尿酸値を下げる取組みを無駄にしないためにも、必ずチェックしてください。
【mg/100g】
1位 | ニボシ:746.1 | 11位 | オオアミ:225.7 |
2位 | カツオブシ:493.3 | 12位 | 牛肉(レバー):219.8 |
3位 | アンコウ肝:399.2 | 13位 | カツオ:211.4 |
4位 | 干し椎茸:379.5 | 14位 | マイワシ:210.4 |
5位 | 鶏肉(レバー):312.2 | 15位 | サンマ(干物):208.8 |
6位 | マイワシ干物:305.7 | 16位 | クルマエビ:195.3 |
7位 | イサキ白子:305.5 | 17位 | 豚肉(腎臓):195.0 |
8位 | 豚肉(レバー):284.8 | 18位 | スルメイカ:186.8 |
9位 | 大正エビ:273.2 | 19位 | 牛肉(心臓):185.0 |
10位 | マアジ(干物):245.8 | 20位 | カキ:184.5 |
尿酸値を下げる食べ物ランキング
では、食事療法に取り入れるべき食材として尿酸値を下げる=プリン体の少ない食べ物を見ていきましょう。
無理なく続けられるには、やはりこれらの食品をいかに美味しく食べるかが課題なので、色々とレシピを工夫してみてください。
【mg/100g(穀類除く)】
1位 | 牛乳:0.0 | 11位 | なめこ:28.5 |
1位 | うずら卵:0.0 | 12位 | アーモンド:31.4 |
1位 | 鶏卵:0.0 | 13位 | 鳴門巻き:32.4 |
4位 | チーズ:5.7 | 14位 | おくら:39.5 |
5位 | グリーンピース缶詰:18.8 | 15位 | 青汁(粉末):40.2 |
6位 | さつま揚げ:21.4 | 16位 | もやし:44.7 |
7位 | 湯豆腐:21.9 | 17位 | 焼きちくわ:47.7 |
8位 | 豆乳:22.0 | 18位 | 笹かまぼこ:47.8 |
9位 | 魚ソーセージ:22.6 | 19位 | 枝豆:47.9 |
10位 | 板かまぼこ:26.4 | 20位 | おから:48.6 |
最後に、痛風の予防についてもこちらの動画で確認できますので、おさらいとしてご覧ください。
※ラジオなので、聴くだけでOKです!
今後のためにも高血圧や糖尿病など健康が気になる方はこちらのランキングを参考にしてください。
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1位 健康診断の前日の食事について
2位 糖尿病のHbA1c検査について
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4位 肝臓の数値を下げる食べ物について
5位 血圧を下げる食べ物について
胃腸やお腹など消化器官についてはこちらのランキングを参考にしてください。
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【消化器官の記事ランキング10】
1位 胃腸炎の食事療法について
2位 食後の腹痛の治し方について
3位 胃腸炎とストレスについて
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5位 逆流性食道炎の症状と治療法
6位 胃腸炎とウイルスについて
7位 十二指腸潰瘍の症状・原因・治療について
8位 ピロリ菌の症状と感染・除菌について
9位 胃もたれの症状と原因・解消法について
10位 胃の場所と右と左の痛みについて
▼NEW!!
尿検査や腎臓に良い食べ物と飲み物についてはこちらの記事も参考にしてください。
尿検査の項目や尿蛋白を下げる食事とは〜腎臓に良い食べ物と飲み物〜
まとめ
以上、痛風と尿酸値について見てきました。
ここまでの内容を簡単にまとめると以下のようになります。
☑痛風について
痛風とは足の親指に発症することが多く、半年~1年後に来る再発防止のためには放置しないことが重要
☑尿酸値とコルチヒン
健康診断の血清尿酸の検査で、6.8mg以上であれば高尿酸血症・痛風の疑いがあるためコルチヒンなどの早い対応が望ましい
☑どんな人がなる病気?
50代の男性がなるという考えは古く、生活習慣病により今では若い世代でも痛風になる可能性を秘めている
☑尿酸値を下げる食べ物
水分補給は重要な役割を果たしており、尿酸値を上げる食べ物と下げる食べ物のランキングを見て、上手に生活習慣を改善しましょう
プリン体と言えばビールをイメージする人が多いと思いますが、これについてはビールそのものよりも酒の肴(さかな)に問題があるようです。
尿酸値を上げる食べ物ランキングでも挙げた内容を見て、どう思われましたか?
そのほとんどが酒の肴(さかな)ではないでしょうか。
実はビール自体のプリン体の量は、3.3~6.9mg(100mlあたり)なのです。
こういうことを見るだけでも、いかにビールの量が多かったとか一緒に食べている物が尿酸値を増幅させているかがわかりますね。
ビールと痛風はイコールではない著書もあるほどです。
参考:『痛風はビールを飲みながらでも治る!』(小学館文庫)
実際に、私の身近な人でも昔は痛風だったが生活改善により再発はなく、今ではビールも普通に飲んでいます。
要するに、水分補給をしっかりして・ビールを毎日飲むのを一日置きにしたり・お酒と一緒に食べる物を変えることができれば、尿酸値は下げられ痛風の心配をする必要もないというわけですね。
ストレスも痛風には良くないので、これらをどうやって日頃の生活の中に取り入れるかが続けるコツにもなるので、工夫や変化を楽しむようにしてみてください。
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