
ストレスが原因となる胃腸炎について、詳しくまとめました。
以前に胃腸炎の症状を改善するための食べ物について書きましたが、胃腸炎の原因の一つでもあるストレスについて見ていきたいと思います。
目次
ストレス性胃腸炎について
まず、胃腸炎には大きく分けて以下の3種類があります。
・急性胃腸炎
・慢性胃腸炎
・ストレス性胃腸炎
この中でも、病院に行って内視鏡やバリウムなど胃腸の検査を受けても、原因を特定できないのがストレス性胃腸炎です。
別名を機能性胃腸症(障害)機能性ディスペプシアと呼び、日本人の4人~8人に一人の患者数という統計調査も出ています。
こういったストレスによる患者は年々増加傾向にあり、女性も働く機会が多い今では男女関係なく発症する現代病の一つとなっています。
機能性ディスペプシアについては、
検査でも発見できない症状のため厄介な病気ではありますが、感染するのかどうかは発症させないためにも気になるところです。
・ストレスが原因の胃の機能低下についての感染はありません
・ストレスが溜まると免疫力も低下するため、これは細菌性・ウイルス性による胃腸炎と同じ症状なので感染する可能性があります
ストレス性胃腸炎について、要点を抑えておきました。
なお、ウイルス性胃腸炎については、こちらの記事に詳しくまとめています。
ストレス性胃腸炎のメカニズム
では、なぜストレスが胃腸炎になるのかについて見ていきます。
ストレスは精神的なものなので、肉体的なものとどういう関係にあるのか気になる方も多いと思います。
『病は気から』という言葉もありますが、実際の関連性について詳しく知っておきましょう。
体内の臓器とストレスは密接な関係にあり、その中で最も敏感なのが胃や腸で胃腸炎や過敏性腸症候群などという腹痛を発症します。私たちの体は、ストレスを感じることで消化器官のバランスを保っている自律神経に異常が来たされ、胃に負荷が掛かるという仕組みになっています。その自律神経には『交感神経』と『副交感神経』があり、脳から臓器へ伝達する際にその2つの経路を通っていると考えてください。
交感神経
交感神経は体を活動的にしてくれる神経のことで、運動をした時に心拍数が上がったり汗が出たりするように作用してくれます。その働きは、血圧上昇・血管収縮・瞳孔散大・気管支拡張・心機能亢進などがあり、体の活動中や緊張・ストレスを感じる時に機能します。交感神経を動かす要素として、ご存じのアドレナリンがあります。要するに、私たちが活発に動いている時に働く神経と思ってください。
副交感神経
副交感神経は交感神経とは逆に、気持ちを落ち着かせている時や体を休めている時に作用してくれています。その働きは、胃酸分泌・腸管運動促進・心機能抑制・大量の唾液などがあり、食事をしている時や睡眠中・リラックスしている時に機能します。副交感神経を動かす要素として、アドレナリンと逆の働きをするアセチルコリンがあります。要するに、私たちが安息している時に働く神経と思ってください。
普段、この2つの神経が交互に働いていることで健康な状態を保っていられるということですね。
逆にストレスを多く感じてしまうと、この2つの経路が上手に循環されなくなるということです。
交感神経は血管収縮により胃の粘膜の血流が悪くなることで胃がけいれんを起こしたり(胃痛の原因)、副交感神経は胃腸の働きを活発にさせて必要以上に胃酸を分泌させること(吐き気・嘔吐の原因)になってしまいます。
ストレス性胃腸炎の影響
次は胃腸に違和感を感じているにも関わらず、放置しているとどうなるのかについて触れていきたいと思います。
ストレス性胃腸炎の注意点として、最も気をつけたいことは症状に対する対処や治療と向き合わないことです。
ストレスを感じやすい人は特に注意してください。
ストレスから来る十二指腸潰瘍についてはこちらの記事を参考にしてください。
十二指腸潰瘍の症状・原因・治療について〜空腹時の胃痛の治し方〜
自律神経の乱れ
前項で2つの神経の働きをご説明した通り、それぞれの各神経は必要なタイミングで必要な役割を担っています。それ(交感神経と副交感神経)が交互に作用することで心身ともに健康な状態が保たれています。これらが乱れると、様々な面で影響を及ぼすことは容易に想定できると思います。
胃酸の分泌が増える
こちらも前項でご説明した通り、副交感神経の活発化により胃酸が過剰に分泌され、交感神経の低下により胃の粘膜を保護する粘液も減ります。そのせいで、胃の炎症を起こしたり胃潰瘍に発展する恐れもあります。
胃の知覚過敏
胃の働きに対して過剰に反応しやすくなっています。例えば少しの量を食べただけで満腹になったり、胃酸の分泌により胸やけや胃痛になってしまいます。ストレスによる神経質からなっていることが多いです。
消化管機能の低下
胃の運動やぜん動運動の機能低下により消化不良が起きることで胃もたれやお腹の張り、吐き気や胃のけいれんなどの原因にもなるので腹痛が慢性化してしまいます。その他にも、便秘や下痢を繰り返すなどの不快感が続きます。
他の臓器に影響
ぜん動運動の低下や胃酸分泌に過剰になることで逆流性食道炎になったり、胃だけに留まることなく腸にまで及んで潰瘍性大腸炎になり兼ねません。
逆流性食道炎については、こちらの記事を参考にしてください。
逆流性食道炎の症状と原因について〜効果的な食事や薬による治療〜
ストレス性胃腸炎は、薬を飲んで一時的に紛らわせても意味がありません。
根本的な改善として、ストレス解消することや上手に自分と向き合うことが症状緩和につながります。
ストレス解消法
では、ストレスやイライラの発散・解消法について見ていきます。
その前に、セロトニンという言葉をご存知でしょうか?
セロトニンは、三大神経伝達物質の一つで心身を安定させるなどの作用があり、ストレスと深い関係があります。
セロトニンが不足すると、疲れやすい・過食症や拒食症・不眠・集中力低下・欲求不満など体に様々な影響を及ぼします。
別名:幸せホルモンと呼ばれるセロトニンを増やすにはどうすればいいのか、自律神経を安定させるには何が効果的なのかに着目して見ていきます。
ガムを噛む
ガムを噛むと脳内のセロトニンが増えて、緊張感がほぐされてリラックスできます。プロ野球選手をはじめスポーツ選手は、ガムを噛んでリラックス(=集中)していますね。ガムに限らず『よく噛む』ということがポイントになります。
朝日、日光を浴びる
太陽の光は免疫力を高めるビタミンDが含まれていることはご存知だと思いますが、目の網膜を刺激してセロトニン分泌にも作用してくれます。その他にも、朝にセロトニンが分泌されると夜にはメラトニンという睡眠物質に変化します。
泣くこと
感動して泣くことも良いとされています。涙を流すことは疲れが取れるとよく言われますが、それと同じ現象で副交感神経を刺激して活発な状態にしてくれます。同時にセロトニンも分泌してくれます。タマネギでの涙は無意味ですが…。
笑うこと
笑うことも効果的です。免疫力を30%アップさせるなどナチュラルキラー細胞の活性化と、泣くことの同様に副交感神経の活動を活発にしてくれます。また、笑うという行為はリラックスしているので、不安を抑制するセロトニンも分泌され幸福感に満たされます。
深呼吸する(10分間ほど)
今すぐにでもできることですね。深呼吸は文字通り、大きく吸って大きく吐くということです。脳内に酸素が送り込まれると、リラックスしようと働くので副交感神経を刺激してくれます。寝る前なんかも効果的なので、睡眠の質を上げたい人にはオススメです。
何も考えない時間を作る
日頃から喧騒のある環境に身を置いている方の場合にはオススメと言えます。静かな時間の時にこそ、リラックスでき脳内が発達して新しい自分を発見することができます。要するに、何事にもとらわれずに自然のままでいることが良いということですね。
人と会話をする
共感する能力が働くとセロトニンが分泌されます。日頃から人と会ってコミュニケーションの場を作っている人は共感能力が働きますが、デスクワークの多い仕事や家に閉じこもってPCや携帯電話などと向かい合っている人は(電話やメールではなく)積極的に対面して会話をするようにしましょう。
歌を唄う
言うまでもなくカラオケなどもストレス解消には代表的なものです。ここでのポイントは、腹式呼吸であることなので大声で唄うのが望ましいですね。また、唄うことにはもう一つ利点があり、リズムに乗ることも副交感神経を刺激することになります。唄える環境が難しければ、鼻歌でも十分リラックス効果はあります。
お風呂に入って寝る
当然ながらお風呂に入ってゆっくりすることも副交感神経を刺激するのはお分かりだと思いますが、ここでのポイントは、お風呂の温度を38~40℃に設定することです。41℃以上になると逆に交感神経を刺激することになるので、注意してください。湯船に浸かって寝ることで快眠でき、睡眠の質も上がります。
嗅覚と聴覚を刺激する
リラックスするのに代表的なアロマテラピーは嗅覚を最も効果的なものとして有名です。嗅覚は五感の中でも最も本能的な働きをしており、直接脳に伝達するためとても敏感に作用します。聴覚についてもクラシックなど聴くのが効果的なのは有名なところです。これら体の機能を使って上手に精神を安定させてください。
その他
ウォーキングやヨガは有酸素運動で効果があったり、楽しみや生きがいを作ることは精神的な乱れは少ないと言えます。仕事や勉強だけではなく、没頭できる趣味を見つけることも大事ですね。目をつむってみたり、ボソボソ話さず大きな声で話すなど普段から心掛けることも精神衛生上に良いことと言えます。
やはりリラックスの基本は、自分に無理をさせないことですね。
セロトニンが不足している=休息できていないので、そんな方こそ是非こちらをご覧ください。
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まとめ
以上、ストレスが原因となる胃腸炎について見てきました。
まとめると以下の通りです。
・ストレスによる胃腸炎は検査で特定できないが、免疫力低下により感染する可能性はある
・ストレスの原因は自律神経にあり、臓器と密接な関係にあるため放置してはいけない
・ストレス解消法のポイントは、副交感神経を刺激することとセロトニンを分泌させること
人によって、ストレスの感じ方は様々で、価値観の違いで他人ではわからないことだってあります。
それと同じで、ストレスの解消法も十人十色と言えます。
自分に合った発散方法や解消法を見つけましょう。
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