
今回は過敏性腸症候群についてまとめました。
腸についての記事を書いてきていますが、なんと消化器系の内科に受診する患者で3人のうち1人がこの過敏性腸症候群なんだそうです。そして、日本人の10人中1~2人がなるとも言われています。
過敏性腸症候群というと過敏と付くだけあってストレスで痛くなるというイメージなのでセロトニンが不足しているではないかと思ってしまいがちですが、実際のところはどうなのでしょうか。
目次
過敏性腸症候群(IBS)
というわけで、まず最初に過敏性腸症候群(IBS)とは何なのかという点について見ていきます。
(IBS:Irritable Bowel Syndromeの略語)
過敏性腸症候群(IBS)の特徴
過敏性腸症候群(IBS)の特徴には以下の代表的な2つものがあります。
検査ではわからない
一つ目の特徴は腹痛になったからと言って病院に行っても原因が特定できません。胃カメラやレントゲンなどの医療機器で検査をしても過敏性腸症候群(IBS)の症状という診断はされません。
成人した若い世代に多い
20〜40代に多い統計が出ています。この理由はハッキリとしていませんが、過敏性腸症候群(IBS)は現代病なので生活環境(ストレス、夜更かしなどの不摂生)が大きく影響してきます。
過敏性腸症候群(IBS)の症状
過敏性腸症候群(IBS)の症状は4つに分類されます。
その症状の特徴は、下痢になったり便秘になったりと便通が安定しないというところがポイントになります。
下痢型
特に男性に多い症状と言えます。下痢は便が大腸を通っている際に体内に十分な水分を吸収させずに出てくるわけですが、過敏性腸症候群(IBS)は大腸を通る速度が速すぎるために下痢になります。
便秘型
特に女性に多い症状と言えます。便秘には2種類に分類され、さらにその1つのうち3種類に分類されます。過敏性腸症候群(IBS)の便秘はその中でもストレスや生活習慣などによる痙攣性便秘と言われるものになります。
痙攣性便秘についてはこちらの記事に詳しくまとめています。
胃の場所と痙攣による下痢・吐き気について〜右と左の痛みの原因〜
交代型
下痢型と便秘型を繰り返すタイプです。
ガス型
腸内が活発になりすぎてガス(おなら)が溜まります。ストレスなどによって呼吸のリズムも乱れるので酸素を吸い過ぎてしまうことも原因の一つと言えます。
ガスによる腸の痛みがあってお悩みの方はこちらの記事を参考にしてください。
腸が痛い原因は下痢やガスか〜腸を洗浄・健康にするには食事から〜
過敏性腸症候群(IBS)の原因
特徴のところで少し触れましたが、過敏性腸症候群(IBS)を発症する原因は『ストレス』や不摂生によるものとされています。不摂生は生活習慣を見直すことで改善できそうですが、ストレスは根本的な改善が必要と言えます。例えば人付き合いが苦手であったり自分の思ったことを上手く表現できない人は患いやすいので、環境を変えたり自分がどんな性格かを見つめ直すことも必要になってきます。
過敏性腸症候群(IBS)による腹痛
次に過敏性腸症候群(IBS)による腹痛についてご説明します。
ストレスについて詳しい方はご存じかも知れませんが、腹痛は普段から起きる症状なので過敏性腸症候群(IBS)であっても意外と無視される傾向になるようです。
過敏性腸症候群(IBS)は悪化しても大病になることはありませんが、悪循環が進むことで慢性的に発症したり、当然ながら毎日腹痛に悩まされて生活のレベルは下がります。
過敏性腸症候群(IBS)による腹痛のメカニズム
ストレスや生活習慣による腹痛ですので、過敏性腸症候群(IBS)は機能性ディスペプシア(ストレス性胃腸炎)に似ていますが、決定的な違いは『セロトニン』です。機能性ディスペプシアはセロトニン不足によって発症しますが、過敏性腸症候群(IBS)はセロトニンの過剰分泌で発症します。
セロトニンがストレスと密接な関係があるのはご存じかも知れませんが、その理由は以下の通りです。
セロトニンの割合
セロトニンが体内に存在する位置として、意外にも脳内には少なく約90%のセロトニンは腸内に存在しています。こういう点から見てもストレスと腹痛は切っても切り離せなない関係にあることがわかると思います。
過敏性腸症候群(IBS)になる流れ
過敏性腸症候群(IBS)になる体内の流れを簡単に言うと『上から下へ』とイメージしていただければ良いです。脳がストレスを感じる→腸内粘膜からセロトニンが分泌→セロトニンが分泌され過ぎるとセロトニン3受容体と結合→腸の運動が異常になる
悪循環になる
腸の運動が異常になると、痛みや不安などによって精神的に落ち着かない状態になり、それがまた脳内でストレスやプレッシャーなどになって(『下から上へ』となって)同じことの繰り返しになります。
過敏性腸症候群(IBS)による腹痛だけの症状
過敏性腸症候群(IBS)は症状のところでご説明した通り、基本的には4つの症状しか現れることがありませんが、腹痛のみでお悩みの方は病院での受診をオススメします。
過敏性腸症候群(IBS)の薬
過敏性腸症候群(IBS)の治療法には大きく分けて食事療法・運動療法・薬物療法の3つがあります。
ここでは食事や運動で改善できない場合に用いられる薬物療法について見ていきます。
過敏性腸症候群(IBS)の薬には下痢止めや便秘薬などもありますが、これらは対処療法であって根本的な治療法とは言えません。腹痛のメカニズムのところでもお伝えしたように、セロトニンの過剰分泌が過敏性腸症候群(IBS)の原因になっています。
というわけで、ここではセロトニンの分泌を抑える『セロトニン3受容体拮抗薬』の働きについて、ご説明します。
セロトニン3受容体拮抗薬
まず既にご説明したように、セロトニンは腸内で分泌されセロトニン3受容体に結合するわけですが、この薬はその結合をさせないようにします。具体的には、ストレスによって増えてきたセロトニンはセロトニン3受容体と結合すると神経伝達物質を腸内に入れて過敏性腸症候群(IBS)を発症させます。しかし、この薬を服用するとセロトニン3受容体の方に抗体ができてセロトニンが結合しようとしても薬による粘膜で結合させません。
ちなみにこれまで男性だけにしか飲めない薬でしたが、今年(2015年)の6月から女性でも飲めることになりました。女性にとっては朗報と言える情報ですね。この薬は病院で治療を受けた人が処方されます。
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まとめ
以上、過敏性腸症候群(IBS)による腹痛について見てきました。
まとめると以下の通りになります。
・過敏性腸症候群(IBS)は20~40代の若い成人に多く、検査を受けても症状は特定されない
・過敏性腸症候群の症状は下痢型・便秘型・交代型・ガス型の4種類に分類される
・過敏性腸症候群はストレスが原因になりセロトニンが深く関係しているので、下痢止めや便秘薬のような対処療法ではなく『セロトニン3受容体拮抗薬』がベストな治療法と言える
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