
腎臓の位置と腎機能が低下した時の症状や原因、食事療法について詳しくまとめました。
以前に、同じ臓器である胃の場所についての記事を書きましたが、腎臓の場所も気になるところではありますね。
目次
腎臓の位置
まずは腎臓の位置について見ていきます。
腎臓というとどんな機能をしているのかなどが気になりますが、それはまた別の記事で書きたいと思います。
ここでは痛みの位置を把握しておきたいや内臓のことをもっと知りたいという方などのために、腎臓の位置にスポットを当ててお伝えします。
画像を見れば一目瞭然だと思いますので、内臓の画像を貼り付けておきます。
こちらで大体の位置は把握できたと思います(矢印の指す紫色の臓器)が、具体的にどのように構成されているかについてポイントをご説明します。
腎臓の位置は…
・まず基本的に、腎臓は真上から自分の体を見た時に前側ではなく後側(体の背面)に位置しています
・脊柱(せきちゅう)=背骨を挟んで左右両サイドに左腎(左側の腎臓)と右腎(右側の腎臓)があります
・左腎は腰椎(ようつい)の一番上(第一腰椎)や肋骨の一番下(第12肋骨)とほぼ同じ高さにあり、右腎は真上に肝臓があることで少し左腎よりも下がっています
これらのことがわかると、腎臓による疾患(腎臓結石や腎盂炎など)にかかれば背中が痛くなるということも納得いただけると思います。
腎臓の働きや痛みについての記事はこちらをご覧ください。
腎臓の働きを簡単に説明〜機能低下や背中の痛みの原因は尿管結石か〜
腎臓機能低下の症状・原因
次に腎臓の機能が低下した時の症状と原因について見ていきます。
その前にお伝えしておきたいことがあります。それは、腎臓は肝臓や膵臓(すいぞう)と同じで『沈黙の臓器』ということです。これは臓器に異常があっても気づかないという意味です。
これは何を意味するのかと言いますと、重い症状にならないとわからないということです。
腎臓病には、有名な腎不全の他に腎臓結石や腎盂炎、糸球体腎炎にネフローゼ症候群などがあります。
これらの病気は急性的なものと慢性的なものがありますが、慢性的なものになると完治が難しいと言われています。
しかし未然に防ぐ方法がなければ、この記事を書く意味がありませんので、その症状のポイントや原因についてご説明していきます。
腎臓病に関する記事はこちらでご覧になれます。
腎臓病の症状と原因〜アルコールやストレスによる蛋白尿やむくみとは〜
症状
尿の色に異変
尿の色というのは蛋白尿であったり血尿であったりということになります。健康な状態とは違い、蛋白尿は糸球体や尿細管というところでほぼ完全にろ過されず、血液も糸球体での出血や腎臓からの通過点である膀胱や尿道などで出血を起こすことで血尿になります。腎臓に異常があることでそれらの機能も低下します。
頻尿、無尿
尿の色に変化がある場合以外にも腎臓は本来の尿をつくる働きもありますが、機能が低下することで尿が出にくくなったり尿量が減ってきます(無尿)。また、慢性腎炎によりトイレが近くなったりします(頻尿)。一日の回数が10~20回またはそれ以上になると要注意なので病院で検査をしてもらいましょう。
むくみ
腎臓の機能低下の特徴的なものとして、手足や顔がむくみます。むくみの原因は、体内を流れる水分や塩分が上手に出ていかなかったり、体内にある水分と血管を流れる蛋白とのバランスの調和が崩れることから起きます。このむくみは腎臓病以外に心不全や肝硬変の可能性もありますが、血管の中に蛋白が多くあればこのバランスが崩れることはありません。
貧血、めまい
貧血やめまい以外にも動悸や息切れといった症状も現れます。これは赤血球の生産を促進する働きが腎臓にあるためです。腎臓の機能が低下することで、結果的に体内の赤血球が不足して体の隅々まで届かず貧血状態になります。また、動機・息切れの原因は貧血による酸素不足によって心臓に負担がかかるためと言えます。
倦怠感、疲労感
倦怠感や疲労感以外にも食欲不振や吐き気・嘔吐などの症状も現れます。本来、尿からは水分と一緒に老廃物が出ていく仕組みになっていますが、腎臓の機能が低下するとその老廃物が血液中に残る状態になります。この症状を『尿毒症』と呼びますが、尿毒症は腎不全の末期症状となるのでこれらの症状以外(他項目)に気づいたら早急に検査を受けてください。
その他
上記の項目以外にも腎臓病の症状としては以下のものが挙げられます。
皮膚のかゆみ、寒気、手足のしびれ、水膨れのとびひ、口臭がきつくなる、抜け毛が増える、のどの痛み、手足のほてり、ろれつが回らないなど。
以上、症状についてでしたが、これらの症状が慢性的になっていると腎臓に関する疾患に気づかないこともあるので、これを機に自覚症状を見直してみてください。
原因
次に腎臓の疾患になる原因について見ていきます。
高血圧
腎臓の機能が低下すると体から排出されるはずの塩分や水分が体内に残ってしまうことはわかっていただけたと思いますが、そうなると体内の血液量が増え心臓に負担をかけることになります。そうなると血圧も上がり、次は腎臓へ負担をかけることになります。高血圧は悪循環となるので注意が必要と言えます。
肥満
肥満は様々な病気を発症させるリスクがあります。肥満は前項の高血圧につながり、腎臓病にもなり得る糖尿病を発症させる可能性もあります。また肥満は血管の動脈硬化にもなるため、腎臓が流れる血管(糸球体)までもが動脈硬化を起こすことになり血液をろ過する機能が低下することになります。
運動不足
前述した通り、腎臓病を予防するためには糖尿病を予防することがポイントになります。糖尿病は血糖値を上げないことが重要になってきますが、その方法の一つに挙げられるのが運動です。運動不足になるとエネルギーはもちろん体内のブドウ糖(血糖)も消費されません。
ストレス
ストレスは各臓器と密接な関係にあります。特に腎臓へ影響する血流にも密接な関係にあります。それは自律神経の交感神経が刺激されることで興奮状態になり血流が活性化される反面、毛細血管への血流は悪くなります。精神を安定させる(副交感神経を刺激する)ことで血液循環や臓器の機能も安定してきます。
悪習慣
タバコやお酒の飲み過ぎも腎臓にとって良い影響を与えません。タバコは血行を悪くして、ニコチンは交感神経を刺激します。お酒は適量であれば血行に良く害になりませんが、飲み過ぎることによって腎臓病になる可能性が増えます。睡眠不足も血液中の水分不足になるので、腎臓に負担をかけることになります。
以上、原因についてでしたが、これらは見ていただいた通り予防できる内容でもありますので、あなた自身がチェックをしてみて当てはまるようであれば普段からの生活を意識してみてください。
腎機能回復・改善の食事
ここでは腎臓の機能が低下した時の食事療法について見ていきます。
この食事療法にあたって病状には個人差があるので、栄養の摂り方を間違えずバランスの整った食事をする必要があります。なので、基本的には自己判断せず、かかりつけの病院で主治医や薬剤師の指示に従って始めるようにしてください。
人工透析が必要な腎臓病にならないためにも、食事療法をしっかり押さえておきましょう。
今回ご紹介するのは、5つのポイントです。
塩分(ナトリウム)の制限
塩分は水分と同じく私たちの体を構成する上では必要不可欠な成分と言えますが、摂り過ぎには注意が必要です。塩分の摂り過ぎは血圧上昇につながることは言うまでもありませんね。高血圧が腎臓にとって悪循環をもたらすことはすでにお伝えしましたが、それに拍車をかけて腎臓の機能が低下している時は、通常時とは違い塩分を排泄する機能も低下します。できる限り加工食品や、塩分の多い漬け物や味噌汁などは控えるようにしましょう。
一日の塩分基本摂取量:6g
減塩食の工夫:唐辛子、カレー粉、生姜、ゆず、レモンなどで味付け
蛋白(たんぱく質)の制限
たんぱく質もご存じの通り、私たちの体にとっては必要な栄養素の一つですが、これも摂り過ぎには注意が必要です。それは、たんぱく質から出る老廃物が腎臓に負担をかけるためです。通常、老廃物は血液と一緒に腎臓でろ過され尿になりますが、たんぱく質を摂り過ぎることで老廃物もその分体内に残ることになります。かと言って、たんぱく質を摂らないわけにもいかないので、加工食品などは避けて良質なたんぱく質を摂るように心がけましょう。
良質なたんぱく質(=アミノ酸値が高い):牛乳、卵、肉、魚、豆類(大豆、豆腐、納豆)
カリウムの制限
カリウムは塩分(ナトリウム)と同じく体にとって重要な働きをするミネラルです。ただ、カリウムを摂り過ぎることで不整脈などが起きる『高カリウム血症』も発症させてしまいます。腎不全になるとカリウムが排泄されずに血中に溜まりやすく、この高カリウム血症になるので十分に注意してください。腎臓病の予防には適しているカリウムですが、腎臓の機能が低下してからは制限しなければならないので、普段の食事から意識しましょう。
カリウムの多い食べ物:かぼちゃ、イモ類など
調理法:ゆでこぼしや汁切り、水さらし、皮や種を取る
リン、水分の制限
リンは体内にあるミネラルの一種でカルシウムと結合することで骨を丈夫にしてくれています。腎臓の機能が低下すると不要なリンが排泄されませんが、それ以前に現代食ではリンの摂り過ぎが課題になっていますので制限が必要と言えます。また、腎不全により尿量が減ったり塩分の摂り過ぎにより体内に水分が溜まります。そのため水分の制限も課題とされますが、ただ制限し過ぎると脱水状態になり腎不全悪化にもなるので、上手にコントロールしましょう。
リンが含まれる食べ物:牛乳、乳製品、大豆、魚、肉など
エネルギー(カロリー)の補給
食事によるエネルギー補給が不足すると、糖質のように体内のエネルギーを作り出すたんぱく質が上手に消費されません。様々なエネルギー源となっているたんぱく質が不足すると、筋肉でエネルギーを補うようになります。そうなると筋肉のエネルギーで燃焼された結果、不要な物質である老廃物が残り、この老廃物が腎臓に負担をかけます。その逆に、エネルギーの摂り過ぎも肥満・糖尿病・動脈硬化の原因になりかねないので適正量を摂取しましょう。
一日のカロリー必要量:標準体重1kgあたり35kcal
この食事療法というものは、一人で進めるには難しい習慣になるので、身近な家族や友人にも協力してもらうことをオススメします。
腎臓の役割については、こちらで改めて振り返ってみてくださいね。
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急性膵炎の症状と原因について〜膵臓に良い食事の対策・治療法とは〜
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肝臓と腎臓の位置については、こちらの記事をどうぞ。
肝臓の位置と肝臓に良い飲み物とは〜痛みの場所と肝臓に良いお茶〜
尿検査と尿蛋白に良い食事についてはこちらの記事も参考にしてください。
尿検査の項目や尿蛋白を下げる食事とは〜腎臓に良い食べ物と飲み物〜
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腰痛に関する記事はこちらにバッチリまとめています。
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まとめ
以上、腎臓の位置と腎機能低下の症状や食事療法について見てきました。
まとめると以下の通りになります。
・腎臓の位置は、背中側・背骨を挟んだ両側に位置・右腎は上にある肝臓で左腎よりやや下がっている
・腎臓機能低下の症状は主に尿や手足のむくみに現れ、その原因は高血圧・運動不足など生活習慣の乱れによるものが多い
・腎臓機能を回復させるの食事療法は、塩分・たんぱく質・カリウム・リン・水分の制限とエネルギーの補給が重要になる
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