
人体が活動していく上で非常に重要な役割を果たしているカリウム。
通常カリウムは食事などで過剰に摂取しても、必要な分以外は尿として体外に排出されるので問題ないのですが、
何らかの原因によりカリウムの排出がうまく行われないと、高カリウム血症という病気にかかってしまいます。
血清カリウムの濃度が通常基準値以上の5mEq/Lを超える場合を高カリウム血症とします。
高カリウム血症は主に
〇腎臓の機能の低下
〇カリウムを含む食品の過剰摂取
〇薬剤の副作用
〇サプリメントの過剰摂取
〇インスリン不足などの原因によりカリウムが血液中に移動する
〇細胞内に含まれるカリウムが重篤な火傷や感染症などにより細胞外に流れ出す
などが原因で起こることがあります。
体に良かれと思って摂取したサプリメントでも取りすぎると問題が起こるので、注意が必要ですね。
また腎臓病や糖尿病の人は高カリウム血症の発症確率が高くなることが分かっています。
目次
高カリウム血症の症状とはどんなもの?
高カリウム血症は初期の段階では目立った症状は見られないのですが、中度~重症になると下記のような症状がみられます。
症状がみられたときには早急に病院を受診するようにしましょう。
体のだるさを感じる
手足の痺れ、力が入らない
不整脈、頻脈(心拍数が増加している状態)
吐き気、嘔吐
知覚過敏
口の周りの痺れ、思うように喋れなくなる
下痢、腹痛
カリウムを制限する食事をしてカリウムの濃度を下げる
高カリウム血症の治療は主に薬物療法と食事療法の2つがあります。
すでに重症化してしまっている高カリウム血症の場合は第一に薬物療法や外科的処置を行い、原因の改善をしながらカリウムの濃度を下げたり不整脈の予防を行います。
しかし生命の危険のない軽度の高カリウム血症の場合には、カリウムを多く含む食品を制限するなどの食事療法を行いカリウムの濃度を下げるようにし、それでも下がらない場合に薬物療法を開始します。
カリウムを多く含む食品は、
野菜類
じゃがいも、ほうれん草、ケール、もうもろこし、切り干し大根
(イモ類に全体的に多く含まれる)
果物類
アボカド、バナナ、メロン、みかん、りんご、ドリアン、さくらんぼ
(100%ジュースなどに多く含まれるので注意)
カリウムを多く含んでいることで有名なバナナについては、こちらに詳しく書いています。
バナナのカロリー・栄養・糖質~ダイエットにも効果のある成分とは~
魚介類
するめ、くさや、まだい、めかじき、にぼし、サクラエビ
(全ての魚に多く含まれる。特に刺身に多く含まれる)
海藻類
わかめ、干しヒジキ、あおさ、こんぶ、いわのり
豆類
大豆、インゲン豆、あずき、きなこ、
(納豆や豆乳など豆から作られている食品にも多く含まれるので注意)
その他のもの
日本茶、脱脂粉乳、ヤギのミルク、低脂肪乳
などがあります。
成人のカリウム1日必要摂取量は、男性2500mg・女性2000mgですが、カリウム制限中は1日当たり1500mg以下に抑えるようにしましょう。
ただし腎臓病が原因の高カリウム血症では、タンパク質と塩分も併せて制限します。
糖尿病になるとさらに複雑な食事制限が必要となります。
またカリウムが水に溶けやすい性質を利用して、生野菜なら流水にさらす時間を多くしたり、過熱が必要なものであったら細かく切って湯でこぼす(一度ゆでで、そのゆで汁を捨てる調理方法)など、調理方法を工夫することも有効だと言えます。
透析食・腎臓病食レシピ「ドライカレー」
カリウムに関する記事はこちらにも書いてますので、あわせてご覧ください。
カリウムとは何か〜むくみ・高血圧解消や筋肉収縮の効果・効能について〜
カリウム不足の症状と食事対策〜むくみ解消に効果のある食べ物とは〜
また、カリウムに関係する腎臓などの記事もこちらにあります。
腎臓の位置と腎機能低下の症状・原因とは〜回復・改善に向けた食事〜
尿検査の項目や尿蛋白を下げる食事とは〜腎臓に良い食べ物と飲み物〜
高血圧の症状・原因・食事療法について~血圧を下げる食べ物とは~
早期の発見が必要な高カリウム血症
高カリウム血症は重症化するとからだにさまざまな症状が現れる病気です。
しかし、初期の高カリウム血症には自覚症状がほとんどありません。
そのため健康診断などを定期的に受け、早期発見することが大切になってくるのです。
高カリウム血症の症状を感じたら早急に病院を受診し、適切な治療行うようにしましょう。
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