
仲間内で頼み事をするとき「なんとかお願い!!」なんていいますよね?
もっと改まった言い方をすれば「何卒よろしくお願いいたします」になりますが、「何卒」とはただ改まっただけの言い方なのでしょうか?そもそもどうして「何卒」なのでしょうか?
「とりあえずつけておく言葉」くらい日常に溶け込んだ言葉で、意味もなんとなく分かってはいますが、使い方は合っているのでしょうか。
そこで、この記事では「何卒」の読み方はもちろん意味や使い方を例文で解説していきます。
何卒はなぜ“なにとぞ”と言うのか
それでは、「何卒」の意味について見ていきましょう。
ところで、「何卒」がなぜ“なにとぞ”と言うのかご存知ですか?
ビジネスシーンではよく聞く言葉ですが、あなたは本当の意味を理解して正しく使えていますか?
単刀直入に「何卒」とは、相手に対して強くお願いする気持ちを表現する言葉です。
ちなみに、似た言葉に「どうか」や「どうぞ」がありますが、こちらは物事を丁寧に頼む際や心から願う気持ちを表現する時に使われます。あまり変わらないような気もしますが、「なにとぞ」の方が強い気持ちを表す言葉ですので最重要な時は「なにとぞ」を使うのがベストです。
余談ではありますが、「どうか」と「どうぞ」の違いについてもポイントを解説しておきますね。
・「どうか」・・・こちらは、(自分にとって)お願いする相手の方が「上」という立場であるため敬意を持って使います
・「どうぞ」・・・こちらは、(自分にとって)お願いする相手と「同等」または「下」の立場という時に使います
では、何卒がなぜ「強くお願いする気持ちを表現する」という意味になるのかは、言葉を分解することで意味が見えてきます。
分解と言っても、二つの漢字の意味の組み合わせでできたのではなく、「なに」「と」「ぞ」の三つの言葉が組み合わせから意味を成しているのです。
「なに」:お願いする物事
「と」 :それを
「ぞ」 :強調する
つまり、「頼みごと を 何としてでも」のように“何が何でもそうして欲しい”という意味になるのです。
私たちが「絶対にやって!」というのを、ビジネスの世界では「なにとぞ」を使うということです。
何卒はどんなときに使うの?
では、どんな場面でこの言葉を使うのでしょうか。どんな時も何卒を付ければ良いというわけではありません。
正しい使い方と間違った使い方を比較して見ていきます。
正)何卒よろしくお願いいたします。
誤)何卒よろしくお願いします。
何卒は「どうか・どうぞ」を丁寧にした言葉なので、次に続く言葉を「します」のように丁寧語で終わらせてしまうのではなく、続く言葉をさらに丁寧にした「いたします」で終わらせるのが良いです。
正)何卒ご了承くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
誤)何卒ご了承くださいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
この場合、「ご了承ください」の部分を強調したいので最初につけます。文章全体を通しても、(「よろしく」の部分も含み)「ご了承ください」にかかることで文章全体が相手に強くお願いをしている旨を伝える文章になります。
重ね使いは文章で見ていてもしつこく感じてしまいます。必死さは伝わりますが、何卒自体が強さを表現する言葉なので最初に一度使えば十分あなたの願いの強さは通じます。
ビジネス文章で使うことの多い言葉ですので、分かりやすく・スマートにを心がけましょう。
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「なにとぞ」は大事な時に使う
意味が分かると「頼み事をするときに便利な言葉だな」と思いますが、頻繁に使うのはあまりよくありません。
毎回のように言われる相手は、「どれも同じくらい大事」くらいにしか思ってもらえなくなってしまいます。特別大事な要件の時に「いつもと同じ」と解釈されては困りますよね。
ここぞという時に使うことで「とても重要な事だから心しておこう」という気持ちになってもらえるのではないでしょうか。
何卒とは、言葉一つで意味を成すのではなく、一語一語に意味があったんですね。
お恥ずかしい話、この言葉を知る前は「なにそつ」なんて読んでいた私ですが、一語が持つ意味の大きさに驚き大事な場面で使おうと思いました。
たった二文字がもたらす重要な役割を理解し、ベストなタイミングで使えるようになりたいですね。
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