
生活の中で当たり前のように耳にする“すみません”という言葉ですが、あなたはどんな意味で使用しますか?謝罪の意味、感謝の意味、お願いする時と、シチュエーションは様々ですが、その使い方は本当に合っているのでしょうか。
日常になくてはならない言葉だからこそ、意味を理解して、上手に使い分ける必要がありますね。
目次
“すみません”の語源とは?“すいません”とは違うの?
携帯やパソコンで文章を書く際に、“すみません”の予測変換に“済みません”が出てくるのはご存知ですか?実はこの“済みません”が“すみません”の語源なのです。
「済む」が丁寧語になり「済みませ」となり、一言にまとめる役割として終止形の「ぬ」がくっついたことで、本来の形である「済みませぬ」という言葉ができました。
この「済む」というのは、物事の完了・気持ちが満たされた状態を表しているので、「済みませぬ」というのは「まだやるべきことが完了していません」という否定の意思表示なのです。
会話の内容ごとの“すみません”の意味は、以下のようになります。
・お願いされていたことをやるのを忘れてしまったことに対しての“すみません”。
頼まれた要件がまだ済んでいません。
・物を壊してしまったことに対しての“すみません”。
壊してしまった物の弁償がまだできていません。
・贈り物をいただいたことに対する“すみません”。
お返しがまだ済んでいません。(いただいてばかりで申し訳なく思い、気持ちが収まりません)
・道を尋ねる際の“すみません”。
まだ要件を伝えるのが済んでいません。(これからお聞きしたいことがあります)
このように前後の会話やシチュエーション次第で、謝罪・感謝・問いかけなど多くの意味を持つ便利な言葉です。
“すみません”と“すいません”は違うの?
便利な言葉で多用してしまう“すみません”ですが、咄嗟に口にする際“すいません”と言ってはいませんか?こちらも意味は同じで使い方も全く同じです。
「じゃあ何が違うの?」「どっちが間違っているの?」と疑問に思うでしょうが、“すいません”は、元々江戸下町の人々が「マ行」を続けて喋るのが苦手なことからできたなまり言葉で、“すみません”と“すいません”に大きな意味の違いはありません。
「すみません」「すいません」の場面別での使い方
意味を理解していただいたところで、ご覧いただきたいのが“すみません”と“すいません”の使い方です。ここで注意するべきは使う場面です。
先ほどご紹介したように、“すいません”は江戸のなまり言葉なので、少々くだけた言い方になる為、文面ではなく会話の中で使うのが一般的です。
会話
・すいませんが道を教えていただけますか?
・(席を)お譲りいただいてすいません。
メール
先ほどご説明したように、“すいません”は会話の中で使うのが一般的で、相手の感情のつかみにくいメール等の文面での使用には不向きです。ですので、感謝や謝罪の気持ちが伝わりやすい言葉へ変換するようにしましょう。
・お返事遅くなり、すみません。(謝罪)
→お返事遅くなり、申し訳ありません。
・先日は結構なお品を頂戴いたしまして、すみません。(感謝)
→先日は結構なお品を頂戴いたしまして、本当にありがとうございます。
ビジネス
文面での使用が向かないのと同様に、ビジネスシーンでの使用もNGです。前述の通り少々くだけた言い方となりますので、さらに丁寧な言い方に言い直す必要があります。
・納期が遅れてしまい、誠にすみませんでした。
→納期が遅れてしまい、誠に申し訳ありませんでした。
「すみません」「すいません」の類義語
“すみません”には感謝・謝罪・問いかけなど様々な意味があるとお話ししましたが、意味ごとに瞬時に変換できるよう、類義語をおさらいしておきましょう。また、英語での表現も覚えておくと、いざという時に便利です。
感謝を意味する“すみません”
【類語】ありがとう・感謝いたします
【英語】 Thank you
謝罪を意味する“すみません”
【類語】ごめんなさい・申し訳ありません・お詫び申し上げます
【英語】I’m sorry
問いかける際の“すみません”
【類語】恐縮ですが・失礼ですが・
【英語】Excuse me
断りを意味する“すみません”
【類語】お気の毒ですが・せっかくですが・残念ですが
【英語】I’m afraid
【関連記事】
「おざなり」と「なおざり」の違いと意味とは?使い方を例文でご紹介
「いただく」「頂く」「戴く」の違いや使い分け方。意味を理解して正しく使おう!
「すべからく」の本来の意味と由来。使い方のポイントや類語のご紹介
「すみません」と「すいません」を使い分けよう
いかがでしたか?
“すみません”の、たった一言にも多くの意味があるんですね。
同じ言葉でも、その場の状況やシチュエーション次第で意味が変わる日本語は大変便利ですが、元々の意味を知らずに使うと失礼になってしまうこともあるので、他の言葉との使い分けが大切ですね。
この記事へのコメントはありません。