
パソコンを開けばほとんどの漢字が読めなくても出てくる、そんな便利さが当たり前になっている現代ですが、自分の漢字力の低下をあからさまに知ってしまうことにもなります。「何度も中断しては漢字が思い出せない!」こんな場面に出くわしたことありませんか?
また、「辞書で調べようとしても読み方がわからない」や「一字ずつならすぐに出てくる漢字も繋げると読み方がまったく変わってしまう」というケースが多くなると、そのうち調べるのが億劫になってしまいますよね。
しかし、たかが漢字されど漢字、漢字の持つ意味はとても面白くてその由来や意味を理解すると漢字の魅力が見えてきます。
そこで、これってなんて読むの?と思わせる漢字を合わせた熟語、「踏襲」をあらゆる角度から切り開いていきたいと思います。
「踏襲」の意味と語源
では早速、「踏襲」の意味と語源について見ていきましょう。類似の言葉も一緒にご覧ください。
「踏襲する」の意味とは?
この熟語ですが、なんと読むかわかるでしょうか?(私は残念ながらしばらく考えてしまいました)「ふむ」「おそう」これを合わせて「ふしゅう」と読んだ方も少なくはないと思います。
正解は「とうしゅう」と読みます。「踏襲する」とは、「受け継ぐ」と言う意味を表します。
同じような意味を持つ言葉に「継承」と言う熟語がありますが、「踏襲する」は地位や財産といった形のあるものではなく、前人の仕事の進め方や考え方など哲学的要素を受け継ぐ場合に使われます。
「継承」に関しては「人」にしか使わない熟語なので、この二つの熟語の使い方としては違ってきます。この部分だけを見ても、同じようで別の意味を持った熟語であり、奥深く面白いものに思えますね。
「踏襲」の語源
それでは次に、この二文字の語源について見ていきます。日本語の奥深さを再確認できますよ。
・「踏」・・・「ふむ、ふまえる」語源は「足」で「ふむ」を表す漢字
これらから「先に進み行く」や「よりどころにする」の意味を表します。
・「襲」・・・「かさねる、つぐ」語源は「衣」と「龍」の組み合わせを表す漢字
龍は人の位を表しています。その衣を重ねて着ることで継ぐという意味を表します。「襲う」とい意味は、この地位を強引に奪うということになります。
この二つの漢字を合わせると「前任者の意思を受け継ぎ、同じ道を進む」と言う意味になるのです。
「踏襲する」の使い方
「踏襲」の意味や語源についてわかったところで、「踏襲」を使った例文をいくつかあげたいと思います。この言葉を知らなかった人は必見ですよ!
・「人気のある旧デザインを踏襲しつつ、価格を抑えることに努力した結果が成就された」
・「社長の意思を踏襲すると同時に、新開発に向けて取り組んでいきたいと思います」
・「今回の作品は、前作を期待通りに踏襲することができていて、素晴らしいものとなっています」
・「いつの時代を踏襲しているのか、未だ男女で飲み会の参加費の差がある」
・「子育て政策については前政権の政策を踏襲することとした」
以上のように、前任者の意思や思想などを受け継いでいくものとしての意味を表す熟語であることがわかりますね。人間社会において、前任者の思いを受け継ぐこと未来へ残していくことは大切な勤めであると思います。しかし、中には悪しき習慣を受け継いだ結果、社会の混乱を招いたり、人生に行き詰ることもあります。
「踏襲する」とは、前例を引き継ぐ者としてしっかりと見極め“受け継ぐ・受け継がない”どちらの場合でも、その状況に応じて使っていくことがその言葉の意味を理解したことにもなりますね。
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「踏襲する」を理解して上手に使おう
「踏襲」とは形のあるものではなく、『長い歴史の中で生まれた習慣』や『目的など社会や人間関係』など心理的要素が大きく関係しているもので、機械のように同じ動きを繰り返すものを受け継ぐ要素は踏まえていません。
だからこそ様々な選択肢の中で使われる熟語として、少し難しい要素も兼ね備えています。なので、普段の会話としては無理に使わず「受け継ぐ」と表現した方が相手を惑わすことはなく伝えられますよ。
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