
「おこがましい」という言葉を一度は耳にしたことがありますよね。
なんとなく「謙って言う時に使うのかな」程度の解釈で、あまり意識せずに使ったり聞いたりしている方も多いではないでしょうか?
この記事では、普段何気なく使っている「おこがましい」について、詳しく見ていきたいと思います。
目次
「おこがましい」の意味は?
まずは「おこがましい」の意味を見ていきましょう。
「おこがましい」を使う大体の方が「調子に乗ってすみません」のようなニュアンスの時に使っているかと思います。果たしてこの使い方が合っているのか、語源からたどってみてみましょう。
「おこがましい」というのは、元々は「馬鹿馬鹿しい」「馬鹿げている」という意味で、古語で「おこ」というのが「馬鹿」を意味であったことが由来となっています。
この「馬鹿馬鹿しい」というのが、時代が進むにつれ転化し、「生意気」「調子に乗っている」という意味で使われるようになりました。
「生意気」「調子に乗っている」というのを言い換え、「身の程をわきまえていない」という意味が現代ではメインに使われています。
「おこがましい」に対する私たちが思う、「調子に乗ってすみません」という意味は合っていたということです。
「おこがましい」を漢字で書くと?
続いては「おこがましい」の漢字についてです。先ほどから「おこがまし」と平仮名で書いていますが、「おこがましい」の漢字があるのはご存知ですか?
携帯やパソコンで「おこがましい」を変換すると、「痴がましい」と「烏滸がましい」二種類の漢字表記が出てきます。
読み方はどちらも「おこがましい」ですが、二種類には微妙な違いがあります。
痴がましい
まず「痴がましい」ですが、「痴」には「おろか・知恵が足りない」という意味があることから、「(知恵が足りず)おろかな様」という意味になります。前述の元々の由来にとても近いので、しっくりきますね。
烏滸がましい
一方「烏滸がましい」ですが、「烏滸」というのは中国から始まった言葉です。
「鳥」はカラス、「滸」は水辺を表す字であることから、水辺でやかましくする人々のことを「水辺で騒ぐカラスの群れ」に見立てて、このような漢字が使われるようになりました。
どちらも元々の「馬鹿馬鹿しい」の意味の「おこがましい」と結び付けてできた表記なので、ニュアンスは似ていますが、漢字が違えば意味も微妙に変化します。
とはいえ、これらはあくまで漢字が出来た由来であり、意味としてはどちらも現代の「身の程をわきまえていない様」の意味で使用しても問題はないでしょう。
・痴がまし→「おろか、知識が足りない」からくる意味
・烏滸がましい→「水辺に集まるやかましい人たち」からくる意味
「おこがましい」の使い方!
続いては「おこがましい」の使い方を見てみましょう。
「おこがましい」が「身の程をわきまえていない・出過ぎたことだ」という意味であること踏まえ、例文をみていきます。
自分に対して
一般的によく聞くのは「自分に対して」使い場合かと思います。自分を謙遜する意味として使うのは、ビジネスシーンではよく耳にしますね。
【例文】
・「私なんかが口をはさむのはおこがましい。」
・「おこがましいお願いをして大変申し訳ないのですが~。」
・「私からそんなおこがましいことは言えません。」
相手に対して
相手に倒して使う場合は批判の意味になります。対象の相手に直接言えば、感じが悪いですし、相手がいないところで言えば悪口に聞こえてしまいます。
相手に対して「おこがましい」は、多用すべきではありません。
【例文】
・「なんておこがましいひとなのでしょうか。」
・「彼女のおこがましさには呆れます。」
・「おこがましい発言は控えなさい。」
「おこがましい」の類義語
次は「おこがましい」の類義語です。意味や使い方を見てみると、なんとなく似ている言葉がいくつか思い浮かびませんか?
「おこがましい」の類語とその意味を、いくつか見比べてみましょう。
【おこがましい】
身の程をわきまえていない様
【類義語】
・厚かましい:遠慮のない様・図々しい様
・生意気:一人前、あるいはその地位でもないのに、偉そうな・差し出がましい様
・失礼:礼儀と葉反する振る舞い・他人に接する心得が成っていない(わきまえていない)
見比べてみても、どれも態度や姿勢に対することという点では、よく似ていますね。
「おこがましい」は「私なんかが」というように自分を謙遜する気持ちが強く感じられますが、類語については「やってしまう・言ってしまう」のように相手自分の区別なく、その行動や言動に対して使われるようなイメージがありますね。
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「おこがましい」は覚えておくと便利です!
ビジネス会話ではもちろん、日常会話でも「おこがましい」は使えます。
「身の程知らずな感じ」や「そんな調子に乗ったような感じ」と似たようなニュアンスを伝えたい時には「おこがましい」を使うと文章にまとまりが出ます。
逆に「おこがましいとはなんか違うんだよな」という時のためにも、類義語を合わせて覚えておくことで、表現方法のバリエーションが増えますね。
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