
先日、取引先の人から頂いたお手紙にあった「小生」という言葉が印象的でした。
読んでいた小説に出てきたことはあったのですが、実際「小生」と使うことがあることを知ると親近感を覚えました。「しょうせい」という響きはどこかノスタルジックな印象を持っていたのですが、一体この「小生」どのような時に使うのでしょうか?
年配の方が使っているイメージが強い「小生」は、若い世代でもビジネスにおいて使うことがあるということで幅広く使われているのがわかります。
しかし、この「小生」使い方によっては間違ってしまうことも多い言葉なのです。
この記事では「小生」の言葉の意味や語源、使い方の例文や類義語をご紹介していきます。
「小生」の意味は?語源は?
「小生」という言葉をあまり会話の中で聞くことはないですよね。主にお手紙の中で見かける言葉です。しかし、この使い方もしっかり覚えておかないと相手方に失礼にあたることもあるので覚えておきましょう。
「小生」の意味は?
「小生」とは「男性が自分のことをへりくだっていう言葉」です。
第一人称として使われています。「へりくだる」ということは、相手を敬い自分を低くする時に使う言葉なので丁寧な言い回しのようにも捉えられますが、そこは要注意するところです。
「小生」の語源は?
それでは「小生」の語源について見ていきましょう。
- 「小」・・・「小さい」という意味
- 「生」・・・「生きる」という意味
もともと「生きる」という意味の「生」ですが、生きるということは「学ぶ、学習する」などの意味も踏まえています。そこへ「小」という漢字をつけることによって「まだ勉強中の未熟者ですが」といった意味の言葉になりました。
「小生」の使い方と例文
それでは「小生」の使い方と例文を見ていきましょう。
注意「小生」とは男性が使う謙譲語なので女性には使いません。また謙譲語といえば自分より目上の人に使う言葉に思いますが、実は自分から見て同等の立場の人や目下の人に使う言葉なのです。目上の人に「小生」と使ってしまえば「生意気・無礼な」と、かえって失礼にあたりますので注意しましょう。
では、どのように使えばいいのか例文を用いてみていきましょう。
【例文】
- 「小生までご連絡の程、よろしくお願いいたします。」
- 「まだまだ勉強中の小生ですが、今後ともよろしくお願いいたします。」
- 「ご不明な点がございましたら、小生までご連絡くださいませ。」
- 「小生変わらず元気にしております。」
- 「この件につきまして、小生ですがご対応させていただきますので何卒よろしくお願いいたします。」
例文のように「小生」を使うことはできますが、生意気な印象を受けてしまいますね。ビジネスにおいては致命的な使い方もしかねませんので、ビジネスに使う場合はよほど親しい間柄の人に向けてか、上司に使うことを尋ねてみた方がいいでしょう。
知っているからと無理に使う必要はありませんが、間違えて使うことのないよう心がけておきましょう。
「小生」を女性に置き換えた類義語
それでは「小生」の女性版にはどのようなものがあるのでしょうか。
- 下名(かめい)
- 私(わたし・わたくし)
「下名」は「自分をへりくだっていう言葉」として使われます。「小生」とは違い男女ともに使うことが出来ますので、ビジネスシーンにも幅広く用いられています。しかし「下名」も堅苦しい表現の言葉ですので使い方には注意しましょう。
その点、当たり障りなくビジネスシーンでも無難に使えるのは「私」です。かえって失礼な感じの印象がありますが、「私」と使う方がかえって相手に対しても好印象になります。
「小生」は男性特有の一人称なので女性特有の一人称もあるように思えますが、女性にだけ使うものはありません。
使い方ひとつで印象が違ってくる言葉の不思議
ここまで「小生」について解説してきました。
「小生」という言い方は、年配の人が使っていることには違和感もないですが、若い年代が使うと周囲からは「自意識過剰」「小生意気」な印象を与えてしまいます。
人生の苦楽を知り尽くした年代の人が「小生」を使うことに奥ゆかしさを感じるのは、「小生」に込められた人生は常に勉強ということを物語っているからなのでしょう。
逆にまだ半人前のような年代が「小生」と自分のことを表現すると「気取っている」というイメージになってしまいますので、ビジネスにおいて知らずに使ってしまわないようにこの機会にしっかりと覚えておきましょう。
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