
ビジネスのみならず色々なシーンで多用される言葉の中に、時制に関する表現があります。一見難しそうですが、言葉を知るということは自分の知恵で答えを導き出すのではなく知識を身に着けるということが大切です。その証拠に、意外と小学生の頃に習った言葉って覚えていて、いまだによく使うものですよね。
今回は、その時制の表現の中でも「今般」の意味や「先般」「昨今」「この度」との違い、使い方の例文についてご紹介していきます。
目次
「今般」の意味と違い
時制を表す表現には様々な種類がありますが、似たような「頃」を示す言葉も多いのでしっかり見分けるための知識が必要です。
では、まず「今般(こんぱん)」という言葉について説明していきます。
「今般」の意味とは
まず、「今般」という言葉を日常会話の中で聞いたことのある人がどのくらいいるのかわからないほど、耳にする機会は少ないですよね。そもそも「今般」という言葉は主に形式ばった場やかっちりした文章中で使う言葉なので、日常的に使うことがほぼないと言ってよいでしょう。
「今般」というとどんな意味なのか、ちょっと難しそうに感じてしまいますが、「今」という言葉に着目すると分かりやすくなります。
「今般」には、「ごく最近行われたり、直近で起こった過去の出来事を表す」という意味があります。
例えば、「今般、弊社は下記の住所に移転いたしました。」というように、取引先への案内状で使われることが多い言葉なのです。「移転いたしました」とあるので、ごく最近移転が完了したということになります。
「先般」「昨今」「この度」との違い
では、その他の時制を表す言葉とは何が違うのでしょうか。
「先般」は、「今般」の対義語とされています。時間の流れとしては、「今般」の出来事が起こる前の時点を指しています。「今」に対して「先(過去)」を指しているので、対義語というわけですね。
次に「昨今」という言葉についてですが、意味は「昨日今日」「近頃」と時期を限定するのみです。
今般は最近行われた出来事について話したいときに使う言葉なので、出来事を示す「今般」と時間軸だけをしめす「昨今」には大きな違いがあるといえます。
最後に、「この度」という言葉について、「今般」に比べて現在の事態を示す意味合いを強く持っています。「今般」は直近で起きた過去の出来事を示しているので、時間軸に違いがあるのが分かりますね。
「今般」の使い方と例文
今般の意味や、似たような言葉との区別ができたところで、実際にどのように使うのがよいのか例文とともに見ていきましょう。
「今般」をビジネス上で使う時のポイント
まずビジネスで使うといっても、同僚とのやり取りなどでは必要ないと考えて問題ないでしょう。
「今般」は、かなり堅い表現と言えます。取引相手やかなり目上の人向けに使う言葉として認識しておきましょう。
また、確かに「今般」はその意味に沿って使うことが大事ですが、時として「さて、」のように文頭に置いて文章を滑らかに書き進めるという役割も担うことができます。文章全体の流れを加味しながら使ってみると良いですね。
「今般」を使った例文
ビジネス上以外ではあまりなじみのない言葉ですが、上記のポイントに注意しながら例文をご紹介していきます。
1.「今般の弊社決定事項により、本プロジェクトは白紙になりました。」
2.「今般の移転に伴い、皆様にはご面倒をお掛けすることとなり申し訳ございません。」
3.「今般の一連の事件におきまして、関係者を代表し深くお詫び申し上げます。」
4.「今般、A社と合併致しましたことをお知らせいたします。」
5.「今般、海外進出が決まったため御社の英語教育制度を導入したく考えております。」
このように、今般を使う時は「最近決まった出来事」とともに使うと間違いが少なくビジネスレターもレベルアップするでしょう。
きっちりしているようで幅がある
「今般」のように、時制を指し示す言葉が沢山あることが分かりましたね。
「直近の出来事」というように、ごく最近の出来事の話をする時に使われる「今般」という言葉ですが、「どのくらい直近なのか」ということは明確には定められていません。そういった意味で含みのある言葉ですので、まずは躊躇なくチャンスを見つけて使ってみることです。
ただ覚えるだけではなくて使ってみることにより、理解はより深まっていくでしょう。
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