
私が「言及」という言葉を知ったのは、学生の頃で何となくしか意味を捉えられていませんでした。大人になって自らの意思で理解し直してみると、言葉の奥深さや真の理解の深まりに大きな喜びを感じました。
何となくの理解から真の理解へと進化した時にこそ、初めて言葉を理解したと言えるのかもしれませんね。
「言及する」という言葉は、知っていてもなかなか使いこなすのが難しい言葉の1つです。
この記事では、「言及する」の意味や例文による使い方、英語や類義語についてご紹介していきます。
目次
「言及する」の意味
では早速、「言及する」の意味についてご紹介していきます。日常的に使わるというよりは形式的な場や堅い表現として使われることが多いですが、意味を知ることができたら身近に感じられる言葉です。
「言及」の読み方と意味
まず、「言及」は「げんきゅう」と読みます。読み間違いとしては「ごんきゅう」が多いので気をつけましょう。どちらも画数の多くない漢字なので、見た目ではそんなに難しく感じる人は少ないかもしれません。
「言及」の意味を辞書で調べると「言い及ぶこと」と出てくるのですが、これではなかなか本当に理解したとはいいがたいですよね。
では実際にどういう意味があるのかというと、「言及」とは「発言するに至ること」「話をするところにまで及ぶこと」という意味になります。
例えでいうと、下記のようになります。
「テーブルの上にリンゴとみかんがある」という物事があるとします。この場合、「このリンゴってさ…」とリンゴについてのみ話をする場合、「リンゴについて言及したが、みかんについては言及しなかった」ということになります。
これだけだと「話をした」でも良いように思いますが、「言及」という言葉を使う場合は「話す」理由や目的が明確にある場合が多いです。リンゴについてより知識を深めたかったり、そこから何か広げたい話がある場合、その理由が「リンゴの話をする」という行為をもたらしていて、言葉にすることに至っているわけですね。
反対に、場合によっては「話のネタが尽きてしまって、空白の時間が心もとないから」という理由でリンゴに「言及」している場合もあります。
話の内容については重たい内容でも軽い内容でも使うことができ、特に「大事な場合にしか使うことができない」というわけではありません。
また、言及という言葉は上記の意味の説明からも分かるように、単体で使うのではなく「言及する」という動詞として使う場面が多いです。物事について「言葉にするまでに到達した」場合、「言及する」という表現を用いてみましょう。
「言及する」の使い方
「言及する」という言葉と日常生活との接点といえば、主に「ニュース」「新聞」などの形式的な場が多いですよね。
言葉自体にかっちりしたニュアンスがあるので、メディアや討論の場などでは頻繁に耳にする表現なのです。
では、私たちがビジネスシーンで「言及する」と使いたい場合には、どのようなことに気を付けると良いのでしょうか。
ビジネスで「言及する」を使う際のポイント
会社での会議やプレゼンテーションの場で「言及する」と使いたい時は、的を射た発言の前に用いるようにします。
会議の議題に対して話をする際に使うのであれば、「言及する話の内容がその議題にきちんと向かっているかどうか」ということが大切です。逆に言及する内容が議題とは違ったり道筋からまったく逸れたものだった場合は、会議やプレゼンテーション自体が成り立たなくなってしまうので要注意です。
また、言及する内容については、言及する物事を解決するためであって人を傷つけたりおとしめたりするためではありません。あくまで感情とは別に言及すると、実り多い議論ができるでしょう。
「言及する」の例文
では、実際にどのようにして「言及する」という言葉を用いればよいのか、下記の例文と共に見ていきましょう。
1.「社長の進退について、重役会議で言及する」
2.「君が言及した内容は、今後の社運を大きく左右するものだ」
3.「彼の論文は僕が長年疑問に思っていた謎に言及するもので、非常に興味深い」
4.「この議題を解決するために、まずは〇〇について言及していきたいと思います。」
5.「本文だけでは真意が十分に伝わらない可能性があったので、注釈を付け加えて言及しておいた。」
例文を見ていると、「言及する」という文言を使うだけできちんとした言葉遣いができている印象がありますよね。ビジネス上でも使っていくことができればよりスムーズな議論の進行につながるでしょう。
「言及する」の言い換え
わざわざ「言及する」という難しい表現を使わずに、日常的に使いたいという場合には下記のような類義語が便利です。
「言及する」の類義語
「言及する」と同じような意味を持つ言葉としては、「話題にあげる」「論及する」というような表現があります。「論及する」という言葉は「言及する」と同じく形式的な表現になりますが、違いは「議論」という言葉にするよりも論ずるというニュアンスが強く、より話が細部に至る場合に使われます。
更にかみ砕いた表現が良ければ、「触れる」という表現もおすすめです。「触れる」はシチュエーションによって色々な意味に捉えることができ、〇〇に触れるという表現の場合も「さわる」という直接的な意味の他にも「トピックにあげる」というようにも使うことができます。これであれば、会話であっても文章にする場合であっても使えるので便利ですよね。
「言及する」の英語表現
言及すると英語で言いたい場合に必ず覚えておきたい表現には、下記のようなものがあります。
・refer to ~(~に言及する)
・imply(意味する、暗示する)
・make mention of~(~に言及する、~を〈話題に〉取り上げる)
2つ目の「imply」は「暗示する」という意味ですが、これも実は言及するという表現に近いものがあります。
「暗示する」という表現には「直接的ではなく暗に意味を含んでいる」というニュアンスがあります。言及の仕方にも色々あるとは思いますが、ハッキリ言及するのではなくあえて間接的に意味を含む場合などは「imply」いう単語がふさわしいと言えます。
難しい表現でも実は日常会話に用いることができる!
何となくニュアンスしか捉えられていなかった言葉の意味がはっきり分かるだけで、自分の言語表現の幅が大きく広がります。
「言及する」という言葉は漢字が難しくない分、本来の意味を理解することを蔑(ないがしろ)にしがちですが、きちんと意味を知れば間違えて使うということもなくなりやすいですよね。
イメージだけにとどまらず、言葉の意味をしっかり理解していくようにしましょう。
この記事へのコメントはありません。